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集合住宅博物館 |
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LAST UPDATE 2006.10.10 |
□□■□□ 開放片廊下....
住棟の北側にある各住戸へアクセスするための廊下。南面性を重視し住棟の南側にバルコニーを配すると、必然的にその反対側は廊下となる。
住棟のアクセス形式にはいろいろあるが、廊下型アクセスはエレベータ1基当たりの戸数が多く確保できるため、コスト的には最も有利なアクセス形式である。
法規的には、建築基準法の単体規定で、階当たりの居住面積が200u以上になると、2方向避難が必要となり廊下が必要となる。階当たりの居住面積が200u以下なら階段室型も可能になるが、階段室毎にEVが必要になると、コストが高くなり採算性が低下してしまう。
近年、開放片廊下の面積は容積率には不算入とされたため、以前よりは広めの廊下がつくられるようになってきている。
一方、高齢化社会の中で、バリアーフリーの観点からは、階段室型ではエレベータの設置がコスト的に難しいことを考えると、エレベータを効率よく配置できる廊下型の方が適しているという肯定的な判断もされている。
比較的に温暖な日本の気候からみると、廊下が吹きさらされても、生活の面での大きな問題はなく、受け入れられやすいものとなっている。
プライバシーの配慮のために、廊下は閉鎖的な空間となるものが多い。廊下が表出されると、日本の路地的な空間に通ずるという考えもあり、住戸との関係でうまく計画された廊下は、花木の表出がされるなど、気持ちのよい空間となっている所もある。
多数の世帯が往来する廊下には匿名性のある空間となってしまうが、ほどほどに安全性の高いといわれる日本では、あまり問題にされない。
□□■□□(連続)バルコニー....
住棟の各階はの南側は横に連続するバルコニーで、単調な外観となる。バルコニーでは、洗濯物が干されるし、布団も干される。最近では、バルコニーでのガーデニングも人気がある。巾が広ければ、居間と連続した生活シーンが可能であるが、そこまでの巾の余裕はない。
この連続バルコニーは避難のためという理由が最も大きい。居間とバルコニーの間に掃き出しサッシを設け、狭い住空間の中で、開放性や外部とのつながりを重視したいという要求や、洗濯物や布団を天日に乾かしたいという強い欲求にも応えるものである。通行人や向かいの棟の視線を遮るというプライバシー重視にも配慮したためともいえよう。
日本の場合、バルコニーは躯体から張り出され、住戸間で区切られず連続したバルコニーが顕著に見られる。避難のためだけであれば連続させる必要はないが、各戸に階下に降りることができる避難ハッチやはしごを設けるよりも、「連続化して隔て板」を設けることによって、避難のための設備を少なくし、コストを軽減するという論理が働いている。
隔て板一枚で隣戸と区切られているだけであるので、犯罪の危険性が危惧されるが、日本の低犯罪率や隣人を信頼する心情がそれを支えているのだろう。
また、バルコニーは直下の外壁の耐候性を高めるなど、メンテナンスコストを低く抑える利点が見出され、普及したともいわれている。
バルコニーを躯体の内側に取り込んだベイバルコニーを設けるマンションも見受けられるが、住戸の専有面積の絶対規模が小さい状況にあって、バルコニーを室内側にもってくることは、一般的なマンションでは行われない。
□□■□□ フロンテージセーブ....
日照重視・南面志向は日本人に染み着いた住居観である。可能な限り多くの住戸を南面させるためには、各住戸の間口(フロンテージ)を縮小して、住棟の中に詰め込んだ。
デベロッパーサイドも、日照の少ない住宅は売りにくいとの判断から、間口の狭い住戸ながらも、南面する住戸を増して販売し続け、ユーザーサイドもそれが住宅の姿として求めていくことが繰り返されてきた。
一方、住宅規模の広さへのニーズには、間口を狭くしたまま奥行き(デプス)を広げることで対応した。設備性能の向上に支えられ、奥行きが拡がっても、中央に水まわりを配置するなど、いわゆる定型3LDKを生み出す土壌となっていった。
最近では、ワイドフロンテージとうたわれた住戸プランも見られるようになってきている。新しい間取りが生まれてもよさそうであるが、間取りの新しさはあまりみられない。
□□■□□ フロー重視....
日本の住宅の耐用年数は26年で、アメリカの44年、イギリスの75年に比べて極端に短い。日本には壊して建て替えるというスクラップ・アンド・ビルトの土壌があって、ストックとなりえるマンションは本当に少ない。それは、特に賃貸集合住宅で顕著である。
量的な不足の時代には、貧弱な躯体や空間性能で大量建設を続け、これらが今になって、物理的・社会的に老朽化の時期を迎えてきている。給排水管などの設備系統と躯体との取り合いが不十分で、修繕が著しく困難であるなど、規模水準や設備水準の向上に対応しきれない状況がある。
また、融資制度や税制が、中古よりも新築に対して優遇されていることで、フロー重視に拍車がかかっている。賃貸マンションは、建設費を借入して相続税対策として建設される場合もあり、そもそもストック化は考えられていない。
日本人に新しもの好きという気質がないわけでもないが、長寿命で、長く愛される集合住宅もそろそろ必要である。
最近では、スケルトンとインフィルを分離したSI方式のマンションも供給されるようになっている。しかし、新たに供給されるマンションの多くがストックとなるものを指向しておらず、同じ過ちを繰り返しているようなものもある。