集合住宅博物館

LAST UPDATE 2006.10.10


■□□□□ 高層化....

 戦後の住宅不足に対応するために、土地の少ない日本では、田畑を切り開いて郊外化していくか、都心部での高層化がやむを得ない選択であった。都心部では周辺インフラが十分に発達していない敷地でもどんどん高層化していった。
 土地が高地価する現状の中では、戸数を増加させて戸当たりの土地負担力を軽減するためという理由が高層化に拍車を掛けた。現在やみくもにおこなわれている規制緩和によって、局地的に容積率がアップしたことも高層化に拍車をかけた。
高層のマンションを建てるかどうかはデベロッパの判断であるが、都市の中でどの部分を高層化するか、どの部分は低層のままで抑えるのかという都市行政としてのゾーニングが十分にはされていないというのも日本の都市の現状である。
 高層化は、高層化技術の進展によって支えられた。地震に対する安全な構造システム、防災技術などの技術の進展である。現在では60階という超高層も建てられるようになっている。
 高層化はイギリスでは早くから拒絶されてきた。接地性の欠如や防犯性の問題から住まいとしてふさわしくないという判断がされ、高層住宅の爆発事故を契機にイギリスでは高層住宅はなくなっていった。これは、戦後に建てられた団地の高層住宅でさえ、建替え時には低層化しているように、イギリス人の徹底した拒絶感がみてとれる。
 日本人は高層化に寛容であるばかりでなく、むしろ高い所にすることをステータスと考えているようでもある。さらに、優れた眺望性が得られるという分かりやすい商品価値が後押ししている。住宅購入雑誌の「眺望の」優位性がそれを物語っている。


■□□□□ 壁面後退....

 都市の街並みは、建物の高さがばらばらで整っていないし、道路からの壁面後退の距離もばらばらである。
壁面後退の不揃いは、建築基準法の道路斜線によるところが大きな要因である。また、日本の既成市街地では、狭隘な道路インフラという都市基盤の脆弱さが道路斜線の規制に大きく影響を及ぼしてくる。
 例えば全面道路巾員4mの場合、壁面後退なしでは道路側に3階の高さを計画することはできない。壁面後退の程度は、前面道路巾員と必要とされる床面積(階数)との関係から任意に決められているのが現状である。
 最近では、天空率を求めることによって道路斜線の代わりとすることができるが、道路幅に影響されることにはかわりがない。
 比較的に道路巾員の広い欧米では、道路からの壁面後退がないゼロロットに建てた街区型住棟が一般的な形である。その中庭が、道路空間や公園などの公的な外部空間の次のレベルにある第3の外部空間として評価されている。それに対し、日本では外壁後退した外部空間が評価される傾向にある。居室のプライバシーを確保するために壁面後退し、その部分を植樹することが一般的に見られる。

 

■□□□□ 建物間の隙間....

 日本の都市部における建物と建物との間は隙間だらけだ。欧米では2重壁やパーティウォール形式で、隣の建物同士はぴったりくっついているのが普通の形である。
 これらの隙間的な空間は都心部では、空調機置き場や、設備配管の部分とされ、よく見てみると見苦しい。
 日本で見られる建物間の隙間は、建築基準法や東京都建築安全条例などの法規制によって、建物と建物は離して建てる方向にある。
 まず、高度斜線、日影規制、採光斜線、隣地斜線などの建築基準法による集団規定がある。斜線制限が建物の形態の大部分を規制しているので、より多くの住戸数を確保するためには、外壁面を敷地境界線から後退させて、高容積化を実現させなければならない。戸数を確保しながら、集団規定を満たすためにつくられた隣地境界部分の空地は、積極的に計画しようとされなければ、非常に中途半端な外部空間となる。
さらに、東京都の場合には、東京都建築安全条例において、避難のための窓先空地と道路をつなぐ通路(以下、19条窓先空地・通路)を原則として隣地側に設けるように規定している。
 また、一般法でいうと民法234条(彊界線近傍の建築)が、隣地とのプライバシーの確保のために、隣地の50cmの距離を離さなければならないと規定している。これは民と民との問題であるが、ほとんど例外なく隣地側に隙間が設けられる。
 ただ、このような隙間でも、日本のような湿潤な気候風土のなかでは、通風性能に優れた形態で、利点があり、計画的に肯定されるという考えもあることを紹介しておきたい。
 


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