かつて温泉地に建てられたリゾートマンションが築35年程度経ち、現在では100万円に満たない価格でも買い手がつかないとのニュースを目にします
この価格なら別荘として買ってもいいのではと思うかもしれません
買い手がつかない理由は、毎月かかる管理費修繕積立金にあります
近年では普通の住居用マンションでも管理費の値上げが顕著となり、マンションの資産価値に影響してくると懸念しています
玄関から出た内廊下はエアコンがきいていて快適、毎日共用部分を清掃してくれるスタッフが何人もいる、生ゴミを処理してくれるディスポーザーは便利
これらには当然毎月のコストがかかります
電気代、人件費、汚水処理費
近年のインフレにともない値上げされていくでしょう
この記事では、資産価値を重視したマンション選びが主流となるなか、管理費など毎月の固定費を意識したマンション選びについて解説しています
管理費の値上げは続いていく

2017年から2023年の7年間でマンション管理費の平均値が3割値上りしたとの記事があります(「マンション「管理費」値上げ相次ぎ平均3割増 相談は過去最多」朝日新聞デジタル、2023年10月13日)
私の本業の建築資材業界では、2022年からはじまった円安と世界的なインフレにより輸入原材料が30~50%値上げとなり、販売価格に転嫁できなければ赤字に転落する事態となりました
30年近く携わってきていますが正直これほど急激なことは経験がありません
この値上げを飲まなければ今後販売できませんという強硬なものだったり、採算が取れないので販売を取りやめるということもあり一部混乱も招いたのです
2024年、2025年と日本でもインフレの波は止まりそうもなく管理費値上げがさらに進むものと思われます
管理費の平均値は「住まいサーフィン」というマンションサイトに良いデータがありました
都道府県 | 平均金額(70㎡換算) |
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東京都 | 22,120円 |
神奈川県 | 15,698円 |
埼玉県 | 13,616円 |
千葉県 | 13,492円 |
大阪府 | 12,223円 |
兵庫県 | 11,088円 |
京都府 | 13,119円 |
滋賀県 | 10,093円 |
※2018年~2021年に竣工したマンションが集計対象
出典;「マンション管理費の平均はいくら?修繕積立金との違いも解説!」住まいサーフィン、2024年6月18日
東京都が高い理由は、他の地域よりもタワーマンションの比率が高いためと推測されています
タワーマンションは豪華な共用施設が多く管理費は高くなりがちです
その共用施設ほんとうに必要ですか?

管理費は何に使われるのか
マンションに入居する人たちで構成する管理組合が管理会社にマンション管理業務の一切を全面委託し、管理会社がそれぞれの専門業者に再委託するケースがほとんどでしょう
管理費に係わる項目は主に電気代と人件費です
パーティルームやスカイラウンジがあれば空調や照明に電気を使います
コンシェルジュがいれば人件費がかかります
内廊下のマンションなら空調の電気代や清掃スタッフの人件費がかかります
駐車場は機械式であれば電気代が嵩みます
ディスポーザーがあれば、汚水処理の維持管理費、人件費がかかります
エレベーターの台数が多ければ、電気代と維持管理費がかかり、エレベーター1機あたりの世帯数が少なければ負担額は割高になります
新築販売時には豪華な共用施設を販売戦略に使われる
マンション販売会社は、豪華な共用施設をアピールし購入者側の購買意欲を掻き立てようとします
- フィットネスジム
- スカイラウンジ
- パーティルーム
- キッズルーム
- コワーキングスペース

2010年以前では温泉施設付きの物件もありましたね
私は現在タワーマンションに住んでいますが、パーティルームなどの共用施設を入居してから利用したことがありません
キッズルームは築10年もすると利用していた子供が成長して卒業してしまうそうです
利用しない共用施設に月々管理費を払うのはもったいないと感じるようになってしまいます
中古売却時に高い管理費を敬遠される
中古のマンションを購入しようとする人は、新築では高すぎるからと割安な価格に期待し購入判断します
販売価格と毎月かかる固定費にまず目がいく
私は価格が手ごろであっても、毎月の固定費が高額な物件は敬遠されてしまうと懸念しています
購入した価格が高くても、マンション相場が上がれば売却益がでます
一方、毎月の固定費は確実にキャッシュアウトしていき、居住年数が長いほど膨らむ
今後さらに管理費など固定費が値上げされると、売却益で吸収しきれないことになり投資目線としては魅力を失っていきます
私は自宅マンション売買で資産形成に成功してきましたが、いずれマンション相場の停滞、管理費の高騰が進むと想定し、資産形成の手法として撤退することも視野に入れました
管理費の安い新築マンション例

画像出典;アルファステイツ深谷駅公式HP
現在販売中の新築マンションで管理費の安い物件をご紹介します
管理費は70㎡換算約7,900円です
安く抑えている理由としては
- 駐車場は平置き
- 共用施設は最小限
- ディスポーザーなし
大宮以北の高崎線内への通勤や、周辺地域への車通勤であれば現実的な選択肢です
実際、私は神奈川県や埼玉県郊外の駅近物件を購入し、5年以内に売却することを繰り返しています
私の自宅マンション売買経緯
神奈川県私鉄駅徒歩2分 | 購入額4,553万円、1年後売却額4,900万円(売却益347万円) |
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埼玉県JR駅徒歩2分 | 購入額3,488万円、5年後売却額4,780万円(売却益1,292万円) |
埼玉県私鉄駅徒歩1分 | 購入額5,798万円、1年後売却予想額7,600万 |
浮いた資金を新NISAに回してはどうか

私が現在住んでいるタワーマンションでは管理費26,000円のほか、修繕積立金11,000円、固定資産税12,000円と合計49,000円を毎月支払っています
本来資産とは、毎月配当金や利子所得を自分のポケットに入れてくれるものであり、毎月キャッシュアウトするものではありません
投資系YouTuberが家は資産ではないと発信している理由です
ところが、アベノミクス以降マンション価格が右肩上がりとなり、新築マンションを買えば転売して儲けられる状況が続いてきました
私もこれまで新築マンションの売買を繰り返して一定の資産形成に成功しています
住んでいるタワーマンションも幸い購入時より1,500万円以上高く売却できそうです
売却後、仮に先ほどのアルファステイツ深谷駅に転居すると毎月の固定費が3万円浮きます
そして、マンションの売却益と月々浮いたお金の大半を株式投資に回すことを考えています
新NISAがはじまり、株式投資で得られた利益に税金がかからないというお得な制度ができました

都心好立地の新築マンションを購入し、数年後売却して売却益をねらう方法もまだ通用するかもしれません
とはいえ、都心のマンションは高くなりすぎました
50㎡でも1億円超など目を疑う状況です
アジア圏の富裕層が資金を日本の不動産に換えておきたい需要で、特に晴海や勝どきのタワーマンションをこぞって購入しています
マンション販売会社からすれば一般の日本人会社員に買ってもらう必要がないのかもしれません
このような状況で、夫婦でペアローンを組み1億円以上の物件を購入して管理費など固定費も高いとなると株式投資に回す資金がありません
郊外で管理費など固定費の安い物件を購入し、新NISAを利用した長期的な株式投資をしていく
これからの時代の手堅い戦略ではないでしょうか
そして若い方なら、若いときにしかできない経験や思い出作りにお金を使っていくのも良いでしょう
最後までお読みいただきありがとうございました