売却ノウハウ

マンション売却で「囲い込み」を避けたい人が最初に知っておくべき判断軸

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― 今すぐ売らない人が注意すること ―

※スムラボの記事をきっかけに来てくださった方へ:この記事は、筆者が実際にマンション売却を経験した際の判断や迷いを、記録として整理したものです。

マンションを「売るかもしれない」と考え始めたとき、最初につまずくのが不動産会社との距離感です。

  • まだ売ると決めていないのに、話がどんどん進む
  • 査定を頼んだだけなのに、媒介契約の話が出る
  • 「今が一番いい」と急かされる

いつの間にか売る流れに乗ってしまい、あとから「囲い込みだったのかもしれない」と気づく——これは決して珍しい話ではありません。

【この記事でお伝えしたいこと】

囲い込みを避ける方法は、判断の主導権を自分が持ったまま話を進めることです。そのために必要なのは、両手取引を前提としない会社を選ぶこと。

私はこれまでに3回、マンション売却を経験してきました。4回目となる今回は「今すぐ売らない」という前提で3社に査定を依頼し、この結論に至っています。

マンション売却で囲い込みを避ける判断フロー

※2026年9月現在、実際に売却活動に入っています。本記事は査定段階での判断を記録したものです。

先に結論を知りたい方へ

筆者が3社に査定を依頼して実際に選んだのは、片手仲介(売却エージェント制)を基本方針とするSREリアルティでした。

※売る・売らないを決めていない段階でも査定は依頼できます。

なぜその結論になったのかを順に説明します。

囲い込みとは何か?──売主が不利になる仕組み

囲い込みとは、不動産会社が売主から依頼された物件を他社に紹介させず、自社だけで取引を完結させようとする行為を指します。理由は単純で、売主・買主の双方から仲介手数料を受け取れる「両手取引」になれば、仲介会社の報酬は2倍になるからです。この構造がある限り、他社からの問い合わせを避けたい動機になります。

結果として、買い手の候補が限定され、売却期間が長引き、値下げ圧力が強まる。その不利益は売主側が受けることになります。

そして、囲い込みは「損をさせられた」ことを実感しにくいのです。たとえば3,000万円で売れたとして、売主は「売れてよかった」と感じるでしょう。しかし他社経由の買主がいれば3,200万円で成約していたかもしれない。その可能性は、売主の目からは最後まで見えません。「比較の機会を奪われた」と言っても良いでしょう。

さらに知っておいていただきたいのは、囲い込みの原因は「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」といった媒介契約の種類ではなく「両手取引」にあります。専任媒介そのものが悪いわけではなく、片手仲介を方針とする会社であれば、専任媒介でも囲い込みは構造的に起きにくい。これが、記事後半のチェックリストに関わってきます。

1回目の売却では何も疑問を持たなかった

もう12年前の話になりますが、1回目の売却では私は不動産会社に言われるまま話を進めていました。査定価格を提示され、「この価格でいけそうです」と説明され、媒介契約を結び、数か月後に成約。当時は「スムーズに売れてよかった」と思っていました。疑問を持つための知識がなかった、というのが正直なところです。

あとから考えると、この1社だけでなく他の会社にも査定を依頼して比較すべきでした。この1回目の売却が「囲い込み」だったとは思いませんが、知識がない売主は皆、このように仲介会社に言われたまま進めてしまうのでしょう。

2回目の売却は知識を持って臨んだ

2回目の売却は今から10年前、複数の会社に査定を依頼。「今が一番いい」「うちにはこの物件を希望しているお客さんがいる」ということをアピールして何とか媒介契約を取ろうとする仲介会社が目立ち、頻繁にくる電話に面倒さも感じていました。

私もこの頃には不動産売却に関する書籍を読み、「両手仲介」「囲い込み」というものが存在することを知ったうえで複数社に査定の依頼をしましたので、媒介契約を取ることに躍起になっている、ひっきりなしに電話をかけてくる業者とは距離を置き、お断りしていきました。

複数社といっても、両手仲介をしない会社を選ぶという方針は決めていました。そのうえで価格の妥当性を確かめるために複数の査定が欲しかったという考えです。

「今すぐ売らない人」ほど主導権を奪われやすい

売却を急いでいない人は、リスクが低いように思うかもしれません。しかし実際は逆です。

売主は「相場だけ知りたい」「将来の選択肢として検討したい」と考えている。一方の仲介会社は、せっかくの見込み客を手放したくない、媒介契約に持っていきたい。最初からこのズレがあることを認識しないまま査定を依頼すると、「今なら高く売れそうです」とか「今売らないと値下りしそうです」といった営業トークに流されて、媒介契約を結んでいた、ということが起こり得ます。

悪意というより、仲介会社も営利企業ですから自然に生まれる動きです。だからこそ、売主側が知識を持った上で「流されない意思」を貫く必要があります。

チェックリスト①:査定・会社選びの段階

まだ媒介契約を結んでいない方は、この4点を確認してください。

1.「専任なら高く売れる」と契約種別で釣ろうとしていないか

査定段階で「専任媒介契約ならこの価格でいけます」という話が出たら注意が必要です。問題なのは、両手取引を狙う会社が、他社を排除する手段として専任媒介を急がせるケースです。売ると決めていない段階で価格と引き換えに契約種別の話が出たら、その会社の狙いは売主の利益ではなく自社の手数料にあると考えてよいでしょう。

2. 他社の査定を嫌がらないか

「あの会社は高めに言うだけ」「あそこは顧客がいると嘘をつく」。こうした他社を悪く言う言い方が出るようなら、比較されると困る理由があるのかもしれません。複数社の査定を嫌がる会社は、その時点で候補から外してOKです。

3.「今すぐ売らない」という選択を否定しないか

「今が一番いい」「待つと下がる」と言って、売主側の「今すぐ売らない」という方針を曲げようとしてくるなら、売主から主導権を取ろうとしている可能性があります。相場のピークを正確に予測できる人はいません。タイミングの判断は、最終的に売主自身がすべきものです。

4. 査定価格の根拠が数字で説明されているか

成約事例、競合物件、全体的な市況。これらを示さずに提示される価格は、仲介会社にとって「都合のいい数字」だと疑ってよいでしょう。根拠のある査定は売主が判断するための材料になり、根拠のない査定は仲介会社が契約を取るための道具でしかありません。

チェックリスト②:すでに売り出している段階

すでに売り出している方は、確認するポイントが変わります。「思ったより問い合わせが少ない」「違う仲介業者経由の内覧依頼がない」と感じたときは、以下3点を見てください。

1.レインズの状況は自分で確認できます

専任媒介・専属専任媒介の場合、レインズへの登録は法律上の義務です。登録すると登録証明書が発行され、不動産会社はこれを売主へ交付しなければなりません。

重要なのはその先です。登録証明書に記載されたIDとパスワードを使えば、売主自身がレインズにログインして、自分の物件の登録内容と「取引状況」を確認できます。 仲介会社を通す必要はありません。

出典;媒介契約制度|東日本レインズ(REINS)

取引状況には、「①公開中 ②書面による購入申込みあり ③売主都合で一時紹介停止中」の3区分があります。

「公開中」なら、他社からの紹介を受けられる状態です。これが「書面による購入申込あり」「売主都合で一時紹介停止中」になっていると、他社の担当者は買主候補に紹介しなくなります。

売主が知らないうちに、事実と異なる表示になっていないか、自分の目で確かめてください。

他社から問い合わせが入っても「もう決まりそうです」「売主が不在で内見できません」と事実と異なる説明で断るケースもあると言われています。売主には見えないやり取りなので、報告を待っていても気づけません。売主ができることとして、今どう表示されているかを自分で見てみましょう。

2.売却活動に現れるサイン

  • 内覧が自社経由の買主に偏っている。もしくは他社経由からの内覧がない
  • 値下げ提案が早く、その理由は説明しない
  • 売主の希望より「早く決めたい空気」を強く感じる
  • 1ヶ月以上内覧が全くない

これらに当てはまる場合、売主の利益より仲介側の都合が優先されている可能性が高いと判断してください。

3.説明の仕方に出るサイン

「囲い込み」という言葉自体を極端に避ける、質問すると専門用語で煙に巻く、他社仲介を過度に否定する、「うちに任せておけば大丈夫」と根拠なく強調する。健全な仲介会社であれば、売主が比較・検討すること自体を止める理由はありません。

雑談として「ネットで見たのですが、囲い込みとか悪いことをする業者もいるようですね」と電話で切り出して、反応を見るのも良いでしょう。

当てはまる項目が多いようなら、セカンドオピニオンとして他社の査定を取ってください。今の価格が妥当か、主導権が誰にあるか。それを冷静に確認しましょう。

私が実際に取った行動──「売る・売らないを決めない前提」で査定する

4回目の売却となる今回、私は売る・売らないを決めない前提で査定を依頼しました。重視したのは、片手仲介(売主側だけを担当する形態)を基本方針としている会社を選ぶことです。両手取引を前提としない会社であれば、囲い込みが構造的に起きにくくなります。

3社に依頼しましたが、対応には差がありました。「仲介手数料が割安」「専任なら」という条件を匂わせる会社、仲介手数料の条件を提示しないまま交渉を進めようとする会社があった一方で、SREリアルティは片手仲介(売却エージェント制)を基本方針としているため、両手取引が構造的に起きにくい会社でした。実際のやり取りでも「今は売らない」という前提を一度も否定されず、まだ媒介契約を結んでいないのに成約情報や競合物件の動きを約半年にわたって定期的に教えてくれました。

結果として、相場観を客観的に把握でき、売却時期を冷静に考えられ、主導権が常に自分にある状態を保てました。査定をしたからといって売却しなければならないわけではありません。売却の主導権は、最初から売主にあります。

▼ 筆者が4回目の売却で3社依頼して実際に選んだ仲介会社

※対応エリアは首都圏・関西圏など都市部が中心です。

まとめ:結論を急がないという選択

囲い込みを完全にゼロにすることはできません。仲介会社にとって両手取引は一度に2倍の手数料が取れる取引形態であり、業界構造が変わらない限りリスクは残ります。

それでも、仕組みを知り、初期対応を見て、主導権を手放さない。この3点だけで、不利な売却になる確率は下げられます。重要なのは「どこで売るか」よりも「どう判断するか」です。

そして、売らない前提のまま査定の材料だけ集めることもできます。私自身、売る・売らないを決めない前提で3社に査定を依頼し、相場観の材料を集めながら売却の主導権は常に自分にありました。

もしあなたが今、売却するかもしれないと考えているなら、媒介契約の前にできることがあります。囲い込みが構造的に起きにくい会社で相場を知ることです。私が選んだ会社は先ほどご紹介したとおりです。

この記事が「今すぐ売らない人」のお役に立てば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。